遺産分割についてのQ&A | 大分相続弁護士相談窓口

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遺産分割についてのQ&A

遺産分割についてのQ&A

Q1.遺言がない場合、残された財産はどうやって分けるのですか?

遺言がない場合、被相続人が遺した財産(「遺産」と呼ばれます。)は、基本的に法定相続人が相続することになります。法定相続人が1人しかいない場合には特に問題となりませんが、2人以上いる場合には遺産分割などを行う必要があります。
(1)相続人の範囲 法定相続人の範囲は、民法によって定められています。配偶者は常に相続人となり、その他に子・直系尊属(被相続人の父母など)・兄弟姉妹なども相続人になります。
(2)遺産の範囲 遺産の中でも、相続の対象となるのは「相続により取得した財産」に限定されます。すなわち、生命保険金のように、契約に基づき発生する債権(財産)は、相続の対象になりません。
また、相続の対象となる財産の中でも、「遺産分割の対象となる財産」と「当然に分割される財産」に分けられます。「遺産分割の対象となる財産」は、遺産分割を経ない限り、共同相続人の共有に属したままになります(民法898条1項)。「当然に分割される財産」としては、預金債権以外の可分債権などが挙げられます。たとえば、金銭債権以外の債権が遺産に含まれる場合、相続分に応じて、各共同相続人に当然に分割承継されるので、遺産分割を経る必要がありません。なお、預金債権については、「(可分債権とはいえ、例外的に)遺産分割の対象となる」とする最高裁判所の判決があるので、注意が必要です。
(3)遺産分割の進め方 遺産分割は、まず、共同相続人間での話し合いにより、遺産分割の対象となる財産を分けることを試みる必要があります(これを「遺産分割協議)といいます。)。遺産分割協議により、共同相続人全員の合意を形成することができれば、その分割内容に従って財産を分割します。協議が調わない場合には、遺産分割調停・審判により遺産分割を行います。調停は、家庭裁判所において、裁判官と調停委員がいる中で行われます。調停委員から解決案を提示してもらえたりするので、調停により解決することがあり得ますが、調停の成立には、共同相続人全員の同意が必要となります。調停が成立しなかった場合、自動的に「遺産分割審判」へ移行しますが、ここでは裁判官の判断により分割内容が決定することになります。
なお、遺産分割の具体的な方法については、4つの方法があります。これらの方法については、「Q 遺産分割にはどんな方法があるの?」をご覧ください。

Q2.遺言の内容と異なる遺産分割はできますか?

遺言書によって遺産分割の内容が指定されている場合、基本的にその遺言書の内容に従う必要があります。
しかし、例外的に遺言の内容と異なる遺産分割が認められる場合があります。この例外が認められるには、以下の条件を満たす必要があります。
①遺言により遺産分割が禁止されていないこと
 遺言者は、相続開始から5年を限度に、遺産分割の禁止をすることができます(民法908条1項)。そのため、遺言者が遺産分割を禁止している場合、その期間中、相続人らは遺産分割を行うことができません。
②相続人全員が遺言書の内容と異なる遺産分割について同意していること
 遺産分割協議自体、相続人全員が合意が必要となるものですので、遺言書の内容と異なる遺産分割を行う場合も、当然に相続人全員の同意が必要となります。
③相続人以外の受遺者がいる場合には、その受遺者の同意を得ていること
 「受遺者」とは、遺言によって、遺言者の財産の全部または一部を受け取るとされている者をいいます。遺言書の内容と異なる遺産分割を行う場合、受遺者に不利益が生じるおそれがあるので、受遺者の同意が必要といえます。
④遺言執行者がいる場合には、その遺言執行者の同意を得ていること
 遺言の執行にあたって、遺言執行者が選任されることがあります。具体的には、遺言者の遺言で指定した場合や、利害関係人の請求に基づき、家庭裁判所が選任する場合が考えられます。民法1013条1項は、遺言執行者がいる場合に遺言の執行を妨げてはならないと規定しているので、遺言書の内容と異なる遺産分割を行う場合には、遺言執行者の同意が必要と解されています。

以上の条件を満たす場合、遺言書の内容と異なる遺産分割を行うことが可能ですが、登記や相続税について複雑になります。疑問点などありましたら、ぜひ専門家にご相談ください。

Q3.遺産分割にはどんな方法があるの?

遺産分割方法としては、以下の4つの方法が考えられます。
①現物分割 相続人間で、遺産をそのまま(物理的に)分ける方法をいいます。
たとえば、現金や預金については現物分割を行います。また、土地についても現物分割が可能で、遺産である土地を分筆することで、各相続人が分筆後の土地を取得することが可能です。
一方で、建物のように物理的に分けることが不可能又は著しく困難なものについては、現物分割はできません。
②代償分割 一部の相続人が遺産を取得し、その代わりとして、取得した相続人が他の相続人に対して、具体的相続分に応じた代償金を支払う方法をいいます。代償分割は、相続人間で遺産を取得する意思のある者がいる場合に、特に有効な分割方法といえます。
たとえば、遺産である建物について、相続人Aはその取得を望むものの、相続人Bはその取得を望まないとします。このような場合、代償分割を選択することで、Aが土地・建物を取得し、BはAから代償金を受け取ることができます。
③換価分割 遺産を売却し、その売却代金を相続人間で分ける方法をいいます。両者の希望に沿った分割となりますので、問題も起こりにくいといえるでしょう。
たとえば、相続人であるA・Bいずれもが遺産である建物を取得する意思がない場合、その建物を第三者に売却し、その代金をAとBで分け合うことが考えられます。売却代金であれば公平な分割も実現しやすいので、比較的問題も起こりにくいといえるでしょう。
④共有分割 遺産を共同相続人の共有名義とする方法をいいます。
たとえば、相続人であるA・Bいずれもが遺産である建物を取得する意思がある場合、建物の登記をAとBの共有名義とし、今後は建物を共有物として扱うことが考えられます。共有は共有者間の関係が良好なうちは問題も発生しにくいですが、関係が悪化した場合、その変更(売却など)や管理などが困難になるおそれがあります。そのため、可能な限り④共有分割は避けるべきといえるでしょう。

Q4.相続人に未成年者がいる場合はどうなるの?

共同相続人の中に、未成年者が含まれている場合、遺産分割協議などの相続手続きに影響が出る可能性があります。未成年者は基本的に単独で法律行為を行うことができないとされており(民法5条1項)、代理人を立てる必要があるからです。基本的に、親権者がいる場合には通常親権者が法定代理人となり、親権者いない場合などには未成年後見人が法定代理人となります。しかし、親権者や未成年後見人などが、未成年者とともに共同相続人である場合、利益相反の関係(両者が遺産を分け合う状況にあり、親権者・未成年後見人が自己の利益を優先する可能性のある関係)として、未成年者の代理人となることができません。そのため、このような場合には、特別代理人を選任する必要があります(民法826条1項、860条参照)。
特別代理人の選任にあたっては、親権者や未成年後見人が家庭裁判所に申し立てる必要があります。その際、「遺産分割協議書案」を併せて提出する必要があります。「遺産分割協議書案」は、家庭裁判所が、未成年者の法定相続分を確保した分割案となっているかを確認するために提出します。そのため、未成年者に不利な分割案であれば、家庭裁判所が特別代理人の選任を許可せず、結果として遺産分割を進められない可能性がありますのでご注意ください。

共同相続人の中に未成年者がいる場合に、遺産分割協議を有効に成立させるには、特別代理人の選任が必要となることがあります。このような手続きに不安・疑問がありましたら、ぜひ専門家にご相談ください。

Q5.相続人に認知症の者がいる場合はどうなるの?

共同相続人の中に認知症の方がいる場合、遺産分割手続きに影響が出る可能性があります。遺産分割協議を有効に成立させるには、大前提として、共同相続人全員が判断能力を有しており、その全員が合意していることが必要となります。しかし、認知症の方が十分な判断能力を欠くと判断される場合、(たとえ形式的な遺産分割協議があったとしても、)遺産分割協議が有効に成立しません。
認知症などによって、判断能力を失っている方が法律行為(遺産分割協議)を行うには、代理人を立てる必要がありますが、代理人の立て方としては、①成年後見制度の利用、②があります。それぞれ特徴(メリット・デメリット)がありますので、具体的な状況に応じていずれかを選択しましょう。

①成年後見制度(法定後見)の利用 家庭裁判所が「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある」と判断した場合、後見開始の審判とともに、成年後見人が選任されます。その成年後見人が、認知症など判断能力を失っている方(「成年被後見人」と呼ばれます。)の法律行為を代わりに行います。後見開始の審判と成年後見人の選任にあたっては、本人や配偶者、4親等以内の親族などが、家庭裁判所に対して、後見開始の審判の申立てを行うことが必要となります。
メリット:後見開始の審判がなされた場合、成年後見人が代わりに遺産分割協議に加わることで協議を進行することができます。また、後述の特別代理人と異なり、成年後見人は、その遺産分割協議に限らず、今後の大半の成年被後見人の法律行為を代わりに行うことができます。そのため、認知症の方が単独では行いえない法律行為を全般的に代わりに行ってあげられることがメリットといえるでしょう。
デメリット:後見開始の審判は家庭裁判所の判断で行われますので、誰が成年後見人に選任されるか分かりません。そして、後見開始の審判が取り消されない限り、選任された成年後見人に対して報酬を支払い続けることになるので、金銭的な負担は大きくなる傾向にあるといえるでしょう。また、仮に成年後見人として、成年被後見人の親族が選任されたとしても、成年後見人と成年被後見人が共同相続人である場合など、利益相反の関係(両者が遺産を分け合う状況にあり、成年後見人が自己の利益を優先する可能性のある関係)にある場合には、成年後見監督人や特別代理人を選任する必要があります。

②特別代理人の選任 家庭裁判所が、遺産分割協議など特定の家事事件についてのみ、成年被後見人の代理人(これを「特別代理人」と呼びます。)を選任することがあります。特別代理人の選任は、利害関係人の申立てがあった場合だけでなく、家庭裁判所が職権で選任することもあります。
メリット:特別代理人は特定の家事事件についてのみ成年被後見人の代理人を務めることになります。そのため、特別代理人に支払うべき報酬もその代理行為の限度となります。
デメリット:逆に特別代理人は、それ以外の成年被後見人の法律行為を代理することはできません。そのため、成年被後見人が法律行為を行おうとする場合、日用品の購入など日常生活に関する法律行為を除き、別途成年後見人の選任が必要となります。

相続人の中に認知症の方がいる場合において、遺産分割協議を有効に成立させるには、上記のいずれかの代理人方法で、代理人を選任する必要があります。いずれの方法を選択すべきかの判断は難しいこともあります。疑問点がありましたら、専門家に相談することをお勧めいたします。

Q6.遺産分割協議書は必ず作らなければいけないのですか?

相続人間で遺産分割協議を行った場合でも、必ずしも「遺産分割協議書」を作成しなければならない訳ではありません。
もっとも、作成義務がないとはいえ、以下の2つの理由から、可能な限り遺産分割協議書を作成しておく方が良いと考えられます。
①相続手続きに必要となる場合があること 相続税申告の場面や、遺産(不動産や預貯金など)の名義変更の場面では遺産分割協議書が要求されることが多いです。実際に共同相続人全員がそのような分割内容に納得しているかを確認する必要があるからです。
②後に共同相続人間で遺産分割の有無やその内容について争いになることを防ぐツールとなること 共同相続人間の関係が、遺産分割協議がまとまった当時は良好であっても、後に関係が悪化し、その分割内容に納得できない共同相続人が「そのような協議はなかった」などとして争うことは十分考えられます。こうした場合に遺産分割協議書を作成していないと、実際に遺産分割協議書があったのかすら分からないですし、場合によっては、他の共同相続人が自己に都合の良いように偽造した遺産分割協議書を示すことも考えられます。

遺産分割協議書を作成する場合、相続人が自分で作成することが考えられますが、「遺産分割協議書の作成に精通した専門家に依頼する選択肢」もあります。遺産分割協議書には決まった形式はないものの、記載が不十分だとその後の相続手続きが上手く進まない可能性も出てきます。ここでいう専門家としては様々な資格者が含まれますが、依頼にかかる費用や併せて一緒に行ってほしい手続きなどに応じて、依頼することが良いでしょう。以下では専門家ごとの大まかな特徴を示します。
①行政書士 比較的低廉な費用で遺産分割協議書の作成を依頼できます。もっとも、行政書士に不動産の相続登記を依頼したり、遺産分割調停へ代理人として出席してもらったりすることなどはできません。遺産分割協議書作成後の手続きについては、依頼する予定がない場合には、行政書士に依頼することが良いといえるでしょう。
②司法書士 行政書士よりは高い費用で遺産分割協議書の作成を依頼することが多いといえるでしょう。もっとも、行政書士は不動産の登記を行うことができますので、遺産分割とともに不動産の登記手続きも依頼したいと考えている場合には、司法書士に依頼することが考えられるでしょう。ただし、司法書士は、遺産分割調停へ代理人として出席することはできません。
③税理士 依頼費用は遺産総額に応じて変動する傾向にあります。税理士に依頼することで、遺産分割後の相続税申告を併せて依頼することができる点が特徴的といえます。ただし、税理士に不動産の登記を依頼したり、調停へ代理人として出席してもらったりすることはできません。
⓸弁護士 弁護士費用は多くの場合、着手金と成功報酬に分けられていますが、いずれも各法律事務所が自由に設定でき価格はそれぞれ異なります。弁護士に依頼した場合、遺産分割協議自体のアドバイスを行ったり、遺産分割調停となった場合に代理人として出席してもらったりすることが可能です。依頼できる業務の範囲が広いため、弁護士費用は他の士業の依頼費用と比べると高くなることがあるかもしれませんが、遺産分割協議や調停でのサポートも受けられる点が魅力的であるといえるでしょう。

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