寄与分についてのQ&A | 大分相続弁護士相談窓口

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寄与分についてのQ&A

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Q1.相続人ではなくても寄与分を主張することはできますか。

民法の定める「寄与分」の制度は、相続人であることを前提としています。そのため、相続人でない場合には、寄与分の主張をすることはできません。
もっとも、相続人に該当しない場合でも、寄与分の制度に代わるものとして、①「特別寄与料の請求」や②「特別縁故者に対する相続財産の分与の制度」があります。これらの制度が利用できる場合には、「被相続人の療養看護に努めたことなど」を金銭的に評価してもらえることになります。
(1)①特別寄与料の請求(民法1050条)
特別寄与料の請求とは、死亡した被相続人のために無償で療養看護その他の労務の提供をした被相続人の親族(この親族を「特別寄与者」といいます。)が、相続人に対して、寄与に応じた額の金銭(この金銭を「特別寄与料」)の支払いを求めることができる制度のことをいいます。
特徴としては、まず、請求者が「相続人でない親族」であることが要求されるため、被相続人の親族でなければこの対象となりません。また、相続人でない親族が、相続人に対して、金銭の支払いを求めることができるという金銭債権であることも特徴であるといえます。さらに、特別寄与料の請求には、特別寄与者が相続開始と相続人を知った時から6か月、又は、相続開始から1年を経過することで、権利を行使できなくなります。もし、あなたが相続人に該当しない場合でも、特別寄与料の請求ができるのではないかと疑問に思った場合には、ぜひ一度お早めに弁護士へご相談ください。
(2)②特別縁故者に対する相続財産の分与(958条の2)
特別縁故者に対する相続財産の分与制度とは、相続人がいない場合に、「特別縁故者」に、清算後も残る財産の全部または一部を分与する制度をいいます。
被相続人が死亡したものの、相続人がいるか明らかでない場合、家庭裁判所が相続財産の清算人を選任し、相続人や、被相続人に対して債権を有していた者(「相続債権者」といいます。)がいないかを捜索します。相続人がおらず、相続債権者や受遺者に対して弁済しても相続財産が余る場合には、「特別縁故者」がその相続財産を得ることができます。
「特別縁故者」とは、相続人が不在の場合に、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者をいいます。①特別寄与料の請求が認められるものが「相続人でない親族」に限定されていたのに対し、②「特別縁故者」は親族に限定されないため、内縁の配偶者なども対象となります。ただし、この制度は、「相続人がいないこと」が大前提となります。捜索中に相続人が見つかった場合には、特別縁故者に相続財産が分与されることはありませんので、注意が必要です。

Q2.寄与分が認められるのはどのような場合ですか。

「寄与分」とは、相続人が、被相続人の相続財産の維持形成に寄与した事情がある場合に、法定相続分を超える財産を相続できるようにする制度です。このように、法定相続分に個別事情を考慮して算出される相続分を「具体的相続分」といいます。具体的相続分の算出に当たっては、「寄与分」の他に「特別受益」も考慮されることがあります。
民法は、「寄与分」が認められるには、「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした」ことを要求しています。ここで重要なことは、「特別の寄与」が要求されており、簡単には寄与分が認められない点です。これまでの裁判例を分析すると、寄与分が認められる可能性のあるケースを類型化することができます。ただし、寄与分が認められるには、「寄与分共通の要件」と「類型に応じた注意点」に気を付ける必要があります。そこで、以下では、これらについて簡単にご紹介します。
1 寄与分共通の要件 寄与分が認められる大前提として、以下の4要件は、どの類型であっても満たす必要があると考えられています。
(1)被相続人に対する「特別の寄与」であること。 →被相続人との関係からして、通常期待される程度を超える特別な貢献があることが必要と考えられます。
(2)被相続人が存命中に行われた寄与であること。
(3)寄与行為と「被相続人の相続財産の維持・増加したこと」との間に因果関係が認められること。
(4)寄与行為に対する対価が支払われていないこと(無償性)。

2 寄与分が認められる類型 これまでの裁判例で認められたケース(類型)としては、以下のようなものが挙げられます。
(1)①療養看護をしたケース 一番多いケースかと思われますが、相続人が被相続人の療養看護(介護)を行っていたケースです。大前提として「被相続人が介護を必要としていたこと」が必要となりますが、裁判上、少なくとも「要介護2以上」が必要と考えられています。また、介護施設やデイサービスなどを利用した期間を除き、一定程度相続人が療養看護をしたことも必要となります。さらに、「療養看護の専従性」が要求されると考えられているため、仕事の片手間で療養看護をしていたような場合は認められないと考えられます。つまり、本来介護職員などが必要で、その費用がかかるはずであったものの、相続人が療養看護することでその費用の支出を抑えたといえることが必要になります。

(2)②家業に従事していたケース 相続人が被相続人の家業に労務を提供した(家業を手伝った)ケースについても、寄与分が認められる余地があります。ただし、寄与分が認められるには、「特別な寄与」といえることはもちろん、「家業従事への無償性」と「家業従事への専従性」が要求されており、家業従事を本職としつつも、それが無償であった又はそれに近い給与により行われたことが要求されます。また、これらに加えて、「家業従事への継続性」が要求されると考えられており、少なくとも3年ほどの継続性が必要と考えられています。これらの要件をすべて満たす形で家業に従事する場合、相続人の生活自体が危ういものになりかねないため、家業従事型の寄与分は極めて認められにくいといえます。

(3)③財産を管理していたケース 被相続人に代わって、被相続人の財産を管理していたケースです。たとえば、被相続人が所有・経営していた賃貸アパートの管理を行う場合などが考えられます。この場合に、基本的に不動産管理会社に基本的に管理行為を委託していたような事情があれば、「特別の寄与」があったとはいえず、寄与分は認められないと考えられます。

(4)④金銭を出資していたケース 相続人が被相続人に対して、金銭を出資していた(渡していた)ケースです。たとえば、被相続人の事業や不動産購入のための資金を出資した場合などが考えられます。ただし、被相続人の会社設立のための資金を出資したケースでは寄与分は基本的に認められません。会社は設立者や代表取締役と別の人格を有しますので、その会社のために資金を出資しても、被相続人の財産の維持形成に寄与したとはいえないからです。

(5)⑤扶養をしていたケース 相続人が、被相続人の生活費などを負担していたケースです。しかし、扶養型のケースでは、「扶養の必要性」が認められる場合でないと寄与分は認められません。たとえば、被相続人が金銭的に困窮していたという事情がないにもかかわらず、金銭を送金していたような場合には「扶養の必要性」が認められないと考えられます。また、その扶養が「特別の寄与」と認められる必要があり、お小遣い程度の送金であれば「特別の寄与」が認められにくいといえます。

以上のように、寄与分が認められるには厳しい要件を満たす必要があり、簡単には認められないことが分かります。

3 寄与分が認められる場合の具体的相続分の計算
以上の厳しい要件を満たして、寄与分が認められる場合、以下のように、みなし相続財産を計算した上、それぞれの相続人の具体的相続分を算出することになります。
(1)みなし相続財産の計算 みなし相続財産=(形式上認められる)相続財産の総額ー寄与分
(2)各相続人の具体的相続分の算出
 ①寄与分のある相続人の具体的相続分=みなし相続財産×法定相続分+寄与分
 ②寄与分のない相続人の具体的相続分=みなし相続財産×法定相続分

4 具体例を用いた寄与分を含む具体的相続分の計算
【例】被相続人Xには、相続人である息子2名(A・B)がいた。Xは要介護3であったものの、訪問介護やデイサービスを利用することなく、Aが自宅でX療養看護を行ったため、500万円の支出を免れた。X死亡時に相続財産として2500万円があった。Aによる療養看護が①の類型に該当する場合、ABそれぞれの具体的相続分は?
(1)みなし相続財産の計算 みなし相続財産=2500万円ー500万円=2000万円
(2)各相続人の具体的相続分の算出
ア Aの具体的相続分=2000万円×1/2(法定相続分)+500万円(Aの寄与分)=1500万円
イ Bの具体的相続分=2000万円×1/2(法定相続分)=1000万円

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