葬儀費用は遺産総額から差し引きできますか
遺産総額から相続費用を差し引きできるか否かは、裁判例や学説において様々な見解があります。(例外として、・・・・・の場合は遺産分割の対象となる遺産に含まれるとされる場合もありますが、)一般的に、葬儀費用は、被相続人死亡後に発生した債務であることから、そもそも遺産分割の対象となる遺産に含まれないと考えられています。この見解に立った場合は、遺産総額から葬儀費用を差し引くことはできないといえるでしょう。
遺産総額から葬儀費用を差し引くことができないとした場合、相続人(特に喪主など)が葬儀費用を負担せざるを得なくなるのですが、葬儀費用は急にかかりますし、大金となることがあります。また、被相続人の預金債権は遺産分割の対象となる財産とする最高裁判所の判決があるため、原則として各共同相続人が勝手に預金を引き出すことは認められません。そのため、葬儀費用を負担することになる相続人は、葬儀費用を支払えなかったり、支払うことで生活費が枯渇したりすることもあり得ます。
もっとも、民法909条の2は、例外的に被相続人の預金を一定額の限度で引き出すことを認めています。民法909条の2についての詳細は、「Q1.葬儀代(葬式費用)の支払いは誰がするのですか?」ページをご覧ください。
もっとも、先に述べたとおり、遺産総額から葬儀費用を差し引きできるか否かは様々な見解がありますので、ご自身で判断してトラブルが発生する前に、専門家に相談することをお勧めします。