遺言に有効期限はありますか?
遺言書として要求される形式を守り、遺言作成時に遺言能力があると認められれば、その遺言書は有効であり、特に有効期限はありません。亡くなる何十年前に作成した遺言書であっても、遺言者が死亡することでその効力が生じます。また、遺言は、遺言者が自由に撤回することができるので、遺言に納得いかなければ撤回することでその効力を失わせることができます(遺言の撤回については、「遺言は、訂正や取消し(撤回)ができますか?」をご参照ください)。ただし、以下のように、遺言の形式的要件と遺言能力については、遺言の有効性にかかわるので、注意が必要です。
(1)遺言の形式的要件 遺言に要求される形式は厳格なため、遺言の形式要件を満たしているかはきちんとチェックすべきです。遺言書には、大きく分けて「普通方式の遺言」と「特別方式の遺言」がありますが、主に作成される遺言は、「普通方式の遺言」です。「普通方式の遺言」としては、自筆証書遺言や公正証書遺言がよく用いられますが、他にも秘密証書遺言もあります。いずれの遺言についても、自筆が要求されるか、証人が何人必要かなど細かな要件が定められていますので、注意が必要です。なお、普通方式の遺言の形式として要求される事項については、「遺言はいつ用意すればよいですか?」をご参照ください。
(2)遺言能力 遺言作成時において、遺言者に遺言能力がないと判断された場合、その遺言は無効となります。遺言能力があるか否かは、認知症などの症状の有無だけでなく、遺言者が、その遺言によりどのような影響を与えるのかを認識しているかなど専門的な知見を要する事項を踏まえて判断されます。
有効な遺言を作成するためにも、遺言作成に不安や疑問点がありましたら、ぜひ専門家にご相談ください。