自宅不動産を取得したいけれど、多額の代償金を払いきれない場合はどうすればいいですか?
遺産に含まれる不動産につき、代償分割が行われ、あなたが不動産を取得する場合、他の共同相続人に代償金を支払う必要があります。もっとも、この代償金が多額になり、これを直ちに準備することが難しいことがあります。そこで、こういった場合の対応方法として、以下のものが考えられます。
(1)分割払いなどで合意する方法 代償金の金額や支払い方法・期限については、相続人間で自由に決定することができます。そこで、不動産を取得することになったあなたとしては、遺産分割協議の時点で、直ちに代償金を準備することが難しいことを伝えて、分割方法や支払期限を遅らせてもらうことに合意してもらえないか話し合ってみることが良いと思います。他の共同相続人全員が分割払いなどに応じてくれた場合には、その旨を遺産分割協議書などに残しておきましょう。
(2)融資を受ける方法 他の共同相続人が(1)の方法に合意してもらえない場合、銀行などで融資を受けたうえで、それを代償金に充てる方法が考えられます。ただし、そもそも銀行から融資を受けられるか否か、担保となる財産を用意できること、利息が付されるため金銭的負担が大きくなることなどという問題があります。
(3)配偶者居住権を設定する方法 (1)(2)の方法が難しい場合、代償分割による取得は難しいと言わざるを得ません。もっとも、あなたが被相続人の配偶者である場合に、遺産の対象となる建物に居住し続けたいと考えているときには、配偶者居住権を利用する方法もあります。配偶者居住権については、詳しくは「【4-3】配偶者居住権とは何ですか?」をご参照いただきたいですが、配偶者居住権を取得した場合、これまで住んできた建物に、基本的には終身で居住する権利を得ることができます。これは、その建物自体を所有する権利ではなく、あくまで「その建物を配偶者として無償で使用収益できる権利」ですが、これまでの生活拠点を変えずに、これまでどおりの生活を送りやすくなります。配偶者居住権の設定を受けることで、他の遺産の取り分は減る可能性がありますが、慣れ親しんだ建物に住み続けたいという意思をお持ちの配偶者の方にはお勧めできる方法です。
他の共同相続人との交渉は、分解払いなどの了解してもらうことが難しいことも十分想定されます。また、配偶者居住権の設定を受けられる場合であっても、その権利の内容と遺産分割への影響をしっかり考慮する必要があります。これらについて不安な点や疑問点がありましたら、ぜひ一度専門家にご相談ください。