遺産である賃貸物件から発生する収益を1人の相続人が独占している場合どうすれば平等に分配できますか?
遺産である賃貸物件から発生する収益(家賃)は、遺産である賃貸物件とは別個の財産であり、遺産分割の対象とならないと考えられています(詳しくは、【Q7-2-1】の回答をご参照ください。)。そのため、相続開始から遺産分割までの間に発生した収益は、法定相続分に従って、共同相続人に当然帰属することになります。
それにもかかわらず、特定の相続人が発生した収益を独占している場合には、他の共同相続人の財産を侵害しているということになります。そこで、財産を侵害された他の共同相続人は、侵害している相続人に対し、その利益の返還などを求めることができます。任意に返還してくれない場合には、裁判所に訴えを提起することが考えられます(不当利得返還訴訟や不法行為に基づく損害賠償請求訴訟などが考えられます)。この訴訟で訴えが認められれば、共同相続人が法定相続分に従って賃貸物件から発生する収益を受け取った場合と同じ状況を作り出すことができます。
ただし、将来発生する収益については、裁判において求めることはできないと考えられていますのでご注意ください。