親が借金を残したまま死亡した場合は相続放棄すれば支払わずに済みますか?
はい。相続放棄をした場合、親の借金を支払わずに済みます。
被相続人が借金を負っていた場合に、相続人が相続すれば、相続人が被相続人の地位をそのまま承継することになってしまいます。
一方で、相続人が相続放棄をする場合、相続開始時から相続人でなかったものとみなされるとともに、一切の相続財産の承継を免れることができます。ここでいう「相続財産」には、被相続人にとってプラスの財産(「積極財産」といいます。)だけでなく、債務などのマイナスの財産(「消極財産」といいます。)も含まれます。そのため、被相続人が借金を負っていたとしても、相続放棄をすることで、それを承継しないで済みます。
もっとも、当然のことではありますが、相続放棄をすることで積極財産も承継できなくなります。積極財産と消極財産を比較し、相続を承認するか、相続放棄をするかを判断する必要があります。ただし、相続人にとって、被相続人がどのような積極財産や消極財産を有していたかということは必ずしも明らかではありません。また、相続放棄は、熟慮期間内に行う必要がありますし(詳しくは、【相続放棄-3】をご参照ください。)、一度放棄すると撤回はできません(詳しくは、【相続放棄-4】をご参照ください。)。そのため、被相続人が死亡した後、積極財産・消極財産が明らかでない場合には、相続人はどのような財産があるかを迅速に確認する必要があります。特に相続人であれば、日本信用情報機関(JICC)への照会により、被相続人の借金の有無やその金額などを調査することができます。
なお、相続人が複数いる場合、それぞれの相続人が相続放棄をするか否かを判断することができます。共同相続人のうち、相続放棄をした者がいる場合、他の共同相続人が相続財産を承継することになります。
以上のように、相続放棄は、消極財産の承継を免れるメリットがある一方、得られたはずの積極財産を承継できなくなるリスクもあります。しかも、限られた期間制限の中で相続放棄をするか否かを決定するための情報収集を行う必要があります。そのため、相続放棄をすべきか否か迷っておられる方は、ぜひ一度お早めに弁護士にご相談ください。