投資信託は遺産分割の対象となりますか
「投資信託」とは、投資家から集めた資金をまとめて、株式や債券などに投資・運用する商品をいい、投資運用により出た利益は投資家(受益者)に分配されます。受益者が投資信託の運用利益を受ける権利のことを「受益権」といいます。この「受益権」を有する受益者が死亡した場合、受益権が遺産分割の対象となるかが問題となります。
この点について、最高裁判例(平成26年2月25日)は、(委託者指図型投資信託の)受益権につき、「相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない」として、遺産分割の対象となると判断しています。
最高裁は、金銭債権などの可分債権は、原則として相続開始とともに相続分に応じて当然分割がなされる(=遺産分割の対象とならない)と判断していますが(昭和29年4月8日)、一方で、「投資信託の受益権」や「株式」、「預金債権」などについては遺産分割の対象となるとしています。遺産分割の対象となる財産(権利)については、基本的に遺産分割を経た後でなければ権利行使ができませんので、注意が必要です。