代襲相続とは何ですか。
「代襲相続」とは、相続人が相続開始前に死亡していた場合や、相続欠格や廃除によって相続人たる資格を失っている場合に、その相続人の子が変わって相続をする制度のことをいいます。代襲相続により相続人となる者を「代襲相続人」、本来相続人となるはずだった者(代襲相続人に代襲される者)を「被代襲者」といいます。代襲相続には、①「被代襲者=被相続人の子、代襲相続人=被代襲者の子のケース」と、②「被代襲者=被相続人の兄弟姉妹、代襲相続人=被代襲者の子のケース」が考えられます。代襲相続人の相続分は、被代襲者の相続分に従うことになります。代襲相続人が複数いる場合には、その間で均等な相続分とされます。
代襲相続の概要は上記のとおりですが、この説明だけでは分かりづらい説明となるので、以下の【例①・②】を通じて、代襲相続の制度を紹介いたします。
(1)①被代襲者=被相続人の子、代襲相続人=被代襲者の子のケース ※再代襲可能なケース
【例①】被相続人Xには、妻Aと息子B・Cの2名がいた。Bには娘D・E(=Xの孫)が生まれたが、その直後死亡した。そして、今回Xが死亡した。誰が相続人になるか?
まず、存命の妻Aと息子Cは相続人になります。また、本来BもXの相続人となるはずでしたが、Xの相続開始前に死亡しています。もっとも、Bには娘D・Eがいるので、D・Eが代襲相続人となります。相続分については、妻Aが全体の1/2を、息子BCは本来それぞれ1/4の相続分を有しているから、DとEは、Bの1/4の相続分をさらに半分ずつ取得することになります。
⇒その結果、A=1/2(4/8)、C=1/4(2/8)、D=1/8、E=1/8の法定相続分で相続することになります。
なお、①のケースについては、「再代襲」が認められています。すなわち、代襲相続人となる者が相続開始時に死亡していた場合や相続欠格や廃除によって相続人たる資格を失っている場合に、その代襲相続人に子がいれば、その子が再代襲相続人として相続人となることができます。上記の【例①】であれば、Dにさらに子どもFがいて、BやDが死亡した後にXが死亡した場合、FはXの相続人となります(この場合の相続分は、代襲相続人の相続分と同じです)。
(2)②被代襲者=被相続人の兄弟姉妹、代襲相続人=被代襲者の子のケース ※再代襲が認められないケース
【例②】被相続人Xには、妻Aと、Xの弟であるBがいた(Xの直系尊属は全員死亡している)。Bには息子C・D(=Xの甥っ子)が生まれたが、その直後死亡した。そして、今回Xが死亡した。誰が相続人になるか?
まず、存命の妻Aは相続人になります。また、被相続人Xに子どもや直系尊属がいないことから、弟であるBが本来相続人となるはずでしたが、Xの相続開始前に死亡しています。もっとも、Bには息子C・Dがいるので、C・Dが代襲相続人となります。相続分については、妻Aが全体の3/4を、弟Bは本来1/4の相続分を有しているから、CとDは、Bの1/4の相続分をさらに半分ずつ取得することになります。
⇒その結果、A=3/4(6/8)、C=1/8、D=1/8の法定相続分で相続することになります。
なお、②のケースについては、「再代襲」が認められていません。つまり、【例②】においてCに息子Eがいたとしても、Eが再代襲相続人としてXを相続することはできません。