遺産である土地や実家の管理者は誰になるのですか?管理費用は遺産分配の時に考慮してくれるものなのですか?
1 遺産分割中の不動産の管理について
(1)原則論 相続人が複数いる場合、遺産分割が完了するまで、遺産は共同相続人の間で「共有」することになります(民法898条1項)。ここでいう「共有」の意義について、「(基本的に)民法249条以下の共有の規定が適用される」という旨の最高裁判所の判決(昭和30年5月31日)があります。そのため、共同相続人は、それぞれの法定相続分に応じた共有持分を有することになり、遺産の管理行為を行うには、その持分(法定相続分)の過半数の同意が必要となります(民法898条2項、252条1項)。たとえば、夫が死亡し、相続人が妻(法定相続分1/2)、子ども2人(法定相続分それぞれ1/4)という状況において、妻が「遺産である土地・実家を第三者に賃貸したい」と考えたケースを想定します。この場合、遺産共有状態にある不動産を賃貸することは、「管理」行為に当たるので、少なくとも子ども1人の同意を得て、持分の過半数の同意を得なければならないです。
もっとも、遺産の現状を維持するのに必要な「保存行為」については、単独で行うことができます。たとえば、単なる実家の修繕は、現状を維持するための「保存行為」であるため、一人の共同相続人の判断で行うことができます。
(2)その他の管理方法 また、共同相続人の持分の過半数(or全員)の同意がある場合、遺産の管理者を選任し、管理者に管理を委ねる方法も考えられます。この方法を採る場合、共同相続人は管理者に対して管理費を支出する必要があるでしょう。
2 管理費用の負担と遺産分割について
(1)管理費用の負担者 遺産分割完了までの間に生じた遺産の管理費用については、基本的に相続財産(ex.預金債権)の中から支払うことになりますが(民法885条)、相続財産が枯渇している場合などには相続財産から支払うことはできません。そこで、相続財産から支払えない場合には、遺産を「共有」する共同相続人全員が、それぞれの法定相続分に応じて管理費用を負担することになります(民法898条2項、253条1項)。もっとも、相続財産のうち、預金債権や現金については、遺産分割の対象となるため、基本的に遺産分割が完了するまで安易に引き出すことはできません。そのため、相続財産から支払うことができるケースであっても、共同相続人が一旦は管理費用を立て替える必要がある場合が十分考えられます。立替えが必要となる場合には、領収書などを保管しておき、後の清算の場面に備えましょう。
(2)管理費用が遺産分割の対象に含まれるか否か 遺産の管理費用が遺産分割の対象に含まれるか否かについては、様々な見解があります。もし遺産分割の対象に含まれるとすれば、立て替えた相続人の負担も考慮されることになり、遺産分割協議の中で、持分(法定相続分)に応じた管理費用の負担分配が実現可能です。
もっとも、一般的に、遺産の管理費用は、相続発生後(=被相続人死亡後)に発生するものであるため、基本的には遺産分割の対象とならないと考えられています。この見解を採った場合、管理費用を立て替えた相続人は、遺産分割協議の中で管理費用を立て替えたことを主張したとしても、必ずしもそれを遺産分割協議に反映させなくてもよいということになります。そのため、相続人が立て替えた管理費用を清算するには、遺産分割協議とは別に、不当利得返還訴訟などを提起する必要があると考えられます。
3 まとめ
遺産である土地・実家の管理は、共同相続人間で連絡を取りつつ行う必要がありますし、場合によっては誰かが管理費用を負担しなければならないことがあります。そのため、管理方法について共同相続人間で決められない場合や、管理費用負担について納得いかない場合などは、共同相続人間でトラブルとなることがあります。こういったトラブルを防ぐためにも、遺産の管理に不安や疑問がある場合には、ぜひ一度専門家にご相談ください。
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